昔、マレーシアで仕事をしていた時のクライアントのひとりでSさんという方がおられました。
Sさんは
- 経理畑30年
- 英語全くダメ
- しかし、数字に強く、納得しないことには絶対に資金移動の承認をしない
- Sさんが納得しないと、会社のお金動かない時あり。それでローカル経理マネージャーの方が時折私に電話をしてきて通訳をしてくれ、とよく頼まれました
こういう方だったので、そこの会社の現地の会計士の資格を持つ経理マネージャーの陳さんは仕方なく日本語を覚えるようになったとか。。。
Sさんの会社に税務調査が入りました。
陳さんは大事なことは必ずSさんを通さないといけないので、IRB(マレーシア税務当局)の調査官とSさんを引き合わせました。
Sさん、全く英語できないし、何をどう話したらいいのかわからないので、私の携帯に電話をかけてきました。
「黒川さん、どうしたらいいの?税務署が来ているんだけど」
私はこう聞きました。
「本当に税務署の人かどうかまず確認して下さい」と言うと、Sさんは「俺、英語できないし、黒川さん、悪いんだけど陳さんにその事をこの電話で説明してくれるかな??お願いします」
と言われて、陳さんに説明し、その日はIRBは一旦帰ることになり、後日書面で質問を送付してきて、当時私の所属していた会計事務所が税務調査対応のエージェントとしてIRBと折衝することになりました。
別のケース:Tさんの会社
T社長は
- アメリカ駐在、ヨーロッパ駐在経験のある英語の達者なMD(社長)
- ダンディで、人当たりも良い
この会社にもIRB(マレーシア Inland Revenue Board)の税務調査が入りました。
IRBのオフィサーに対して、T社長は日本の高級なお茶を振る舞い、IRBの質問に答えました。
そのあと、私に電話をかけてきました。
「黒川さん、今日さ、IRBとかいうのが来たんだけど、IRBって税務署のことでしょう??それでね、いろいろ聞くので、一応回答しておいたんだけど、問題ないよね??」
私が、どんな事聞かれたんですか??と聞くとT社長は:
「いやね、本社との取引の利益配分とか、仕切値の決め方とか聞かれたんだけど。。。。答えてまずかったかな??あと、よくわからないからさ、黒川さんのところに監査や税務お願いしているのだから、あと上手くやっておいてくれる。。。」
さて、みなさんに質問です。
- Sさんの会社、Tさんの会社、両方に税務調査が入ったのですが、果たしてSさんとTさん、どちらの対応が一般的に適切な対応をしたといえるのでしょうか???
考えて見て下さい。それではまた
香港はいい季節に入りました。12月までいい季節とのことです。
でも税務調査の話になると、やはりマレーシアを思い出してしまうのです、私。
英語ができる駐在員は、毒にもなるということでしょうか???